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マイホームを売って利益が出た場合の税務


 ご質問を戴いて、私のブログにマイホームを売って利益が出た場合の税務について掲載しました。
 
 譲渡所得の居住用財産の譲渡所得の特別控除について、御質問を戴きました。譲渡の種類とその特別控除額は、以下のとおりですが、今回の御質問に従い、居住用財産の譲渡所得の特別控除をもとに(2)のマイホームを売って所得が発生した場合について御説明します。

(1) 公共事業などのために土地建物を売った場合の5,000万円の特別控除の特例

(2) マイホーム(居住用財産)を売った場合の3,000万円の特別控除の特例

(3) 特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例

(4) 特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除の特例

(5) 農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例


なお、それぞれの特別控除額は、特例ごとの譲渡益が限度となります。また、特別控除額は、その年の譲渡益の全体を通じて、合計5,000万円が限度となります。

特別控除以外に、低い税率を適用する特例もありますので、また、次回、また、御質問戴いた際に御説明したいと思います。


1.制度の概要(平成18年4月1日現在法令等)

マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。これを、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除(措法35居住用財産の譲渡所得の特別控除)といいます。
なお、この特例を受けるためには、一定の書類を添付して、確定申告をすることが必要です。

2.特例を受けるための適用要件

(1)自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。

(2)売った年の前年及び前々年にこの特例又はマイホームの買換えやマイホームの交換の特例若しくは、マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。

(3)売った家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

(4)災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。

(5)住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の二つの要件すべてに当てはまること。

イ.その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。

ロ.家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場等その他の用に供していないこと。

(6)売手と買手の関係が、親子や夫婦など特別な間柄でないこと。特別な間柄には、このほか生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

3.適用除外

このマイホームを売ったときの特例は、次のような家屋には適用されません。

(1)この特例を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋
(2)居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋、その他一時的な目的で入居したと認められる家屋
(3)別荘などのように主として趣味、娯楽又は保養のために所有する家屋

4.分離課税の長期譲渡所得の場合

譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える土地や建物を売ったときの税額の計算は、次のようになります。

4−1.分離課税長期譲渡所得金額の計算

分離課税短期譲渡所得金額=譲渡価額−(取得費+譲渡費用)−特別控除3,000万円

(注)
(1)譲渡価額とは、土地や建物の売却代金などをいいます。

(2)取得費とは、売った土地や建物を買い入れたときの購入代金や、購入手数料などの資産の取得に要した金額に、その後支出した改良費、設備費などの額を加えた合計額をいいます。
なお、建物の取得費は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。また、土地や建物の取得費が分からなかったり、実際の取得費が譲渡価額の5%よりも少ないときは、譲渡価額の5%を取得費(概算取得費)とすることができます。

(3)譲渡費用とは、土地や建物を売るために支出した費用をいい、仲介手数料、登記費用、測量費、売買契約書の印紙代、売却するときに借家人などに支払った立退料、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用などです。

4−2.税額の計算

土地や建物を売ったときの譲渡所得に対する税金は、事業所得や給与所得などの所得と分離(分離課税)して、計算することになっています。
平成16年1月1日以後に譲渡した場合の税額の計算は次のように行います。

税額=課税長期譲渡所得金額×15%(住民税5%)

(例)
8年前に購入した土地、建物の譲渡価額が2億円、土地・建物の取得費(建物は減価償却費相当額を控除した後)が1億円、譲渡費用(仲介手数料など)が500万円の場合

(1)課税長期譲渡所得金額の計算
2億円−1億円−500万円−3,000万円=6,500万円

(2)税額の計算
イ.所得税
6,500万円×15%=975万円

ロ.住民税
6,500万円× 5%=325万円

5.上記分離課税の長期譲渡所得のうち、マイホームを売ったときの軽減税率の特例が適用される場合

自分が住んでいたマイホーム(居住用財産)を売って、一定の要件に当てはまるときは、長期譲渡所得の税額を通常の場合よりも低い税率で計算する軽減税率の特例を受けることができます。(措法31の3(1)居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例)
この軽減税率の特例を受けるには、次の五つの要件すべてに当てはまることが必要です。


(1) 日本国内にある自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地を売ること。
 なお、以前に住んでいた家屋や敷地の場合には、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。

(2) 売った年の1月1日において家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること。

(3) 売った年の前年及び前々年にこの特例を受けていないこと。

(4) 売った家屋や敷地について、居住用財産の譲渡所得の特別控除を除く、マイホームの買換えや交換の特例など他の特例を受けていないこと。

(5) 売り手と買い手の関係が、親子や夫婦など特別な間柄でないこと。特別な間柄には、このほか、生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。


5−1.税額の計算(分離課税長期譲渡所得金額の計算については4−1に同じ)

平成16年1月1日以後に譲渡した場合の税額の計算は次のように行います。

課税長期譲渡所得金額が6,000万円以下の部分について 10%(住民税4%)
課税長期譲渡所得金額が6,000万円超の部分について  15%(住民税5%)


(例)
15年前に購入した土地、建物の譲渡価額が2億円、土地・建物の取得費(建物は減価償却費相当額を控除した後)が1億円、譲渡費用(仲介手数料など)が500万円の場合

(1)課税短期譲渡所得金額の計算
2億円−1億円−500万円−3,000万円=6,500万円

(2)税額の計算
イ.所得税
6,000万円×10%+(6,500−6,000)×15%=675万円

ロ.住民税
6,000万円× 4%+(6,500−6,000)× 5%=265万円

6.分離課税の短期譲渡所得の場合

譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年以下の土地や建物を売ったときの税額の計算は、次のようになります。

6−1.分離課税短期譲渡所得金額の計算
分離課税短期譲渡所得金額=譲渡価額−(取得費+譲渡費用)−特別控除3,000万円

6−2.税額の計算
平成16年1月1日以後譲渡した場合の税額の計算は、次のように行います。
税額=課税短期譲渡所得金額×30%(住民税9%)

(例)
3年前に購入した土地、建物の譲渡価額が2億円、土地・建物の取得費(建物は減価償却費相当額を控除した後)が1億円、譲渡費用(仲介手数料など)が500万円の場合

(1)課税短期譲渡所得金額の計算
2億円−1億円−500万円−3,000万円=6,500万円

(2)税額の計算
イ.所得税
6,500万円×30%=1,950万円

ロ.住民税
6,500万円× 9%= 585万円