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一級建築士 河合伸泰の 建築トピックス
あまり知られていない、増築に関する基準の緩和
平成17年6月施行の建築基準法の改正により、増築の際の基準が緩和になっていますが、これがあまり知られていないので、今回、御説明します。
今まで、増築申請をした場合には、増築する部分も既存の部分も、現行法規に一致させる必要がありました。しかし、1970年の耐震基準、1980年の新耐震基準と構造規定が大きく変更になって、更に、新耐震基準以降も部分的な改正があった為、増築は既存部分の大規模な構造的修繕を意味し、実質的には、増築が難しく、取り壊した上で、新たに作りなおす必要がありました。
しかし、これでは建築主への負担が大きすぎて、新たな建築投資を鈍らせ、さらには確認申請を経ない違法な増築が拡がる弊害があるため、以下の図に示したように、増築する規模で分類して、その規模が既存の半分までである場合については、構造基準が緩和されています。
国土交通省住宅局編集の平成17年6月1日施行改正建築基準法・同胞施行令等の解説より抜粋・一部加工済
まず、増築部分が既存部分の20分の1以下でかつ50m2以下である場合(エレベーターの増築をイメージしていると思われる)には、既存部分とエクスパンション・ジョイントで接続し、既存部分が構造的に危険が増大しないことを確認すれば、既存部分はそのままでOKとなる。
次に、増築部分が既存部分の2分の1以下である場合、既存部分とエクスパンション・ジョイントで分離すれば、既存部分が耐震基準に適合することを確認すればよい。つまり、1980年の新耐震基準以降の建物であれば、耐震基準には適合するので、既存部分への遡及は無いことになる。
さらに延べ床面積が増えた場合には、既存部分の構造的な適法性もしくは適合性を証明しなければならないので、構造的規制が大きなものとなる。
従って、この平成17年6月施行の建築基準法の改正は、新耐震設計の建物の増築であれば、既存の2分の1までの増築を構造的な現行法への適合なしに認めるというもので、画期的なものであると言えるものである。
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