■ じっくりと検討を重ねるほど、選択肢が広がり、より良い答えが見つかります ■

RSS

国税電子申告・納税システム e-Tax

eLTAX:地方税ポータルシステム
Ringworld
RingBlog v3.03d

土壌汚染調査・除去ビジネスには悪徳業者も多い。


(専門家のチェックで費用が1/4になった事例も。)
昨今話題の土壌汚染調査とその汚染除去ビジネスには悪徳業者と呼ぶべき業者が有り、実際に私が税理士として関与した個人及び法人の土地譲渡において体験したことを紹介して警鐘を鳴らしたい。私が出くわした悪徳業者は、資本金4億5千万円で、その株主に大手主要銀行2社と政府系金融機関、大手証券会社、大手損保会社が名を連ねている、R社である。

 まず、仕事の進め方が異常であり、土壌汚染調査とその汚染除去費用の見積も杜撰であった。杜撰を超えて悪意が有ると言うべき事例であった。以下にその詳細を述べる。

1.発注者側を無視した、異常な仕事の進め方である。

 本件は土地譲渡人が法に規定する「有害物質取扱事業者」でも、3,000m2以上の土地の改変でもないが、土地譲受人が土壌汚染の調査を希望したため、土地譲渡人が業者を選定の上、調査を行い、その費用を土地譲受人が負担するという枠組みで、調査を開始することとなり、土地譲渡人が調査の発注者として、元請建設会社に依頼し、この元請会社がR社を指定したにもかかわらず、R社の営業担当者は土地譲受人と懇意になったことを以て、元請会社を相手にせず、土地譲受人と調査計画についての打合および調査工事を直に進め、その結果報告も土地譲受人にのみ行い、土地譲渡人が請求してやっと結果報告を行うという、異常な調査の進め方であった。

2.損害額査定のための、調査が不十分であった。

 汚染が確認された深度と汚染がないことが確認された深度との中間で、汚染がないことが確認された場合に、土壌汚染処理はその中間の深度までで良いとする、所謂「中点法」は、 中央環境審議会でも話し合われていた、確立された手法であるにもかかわらず、この中点法にかかる調査を行わず、損害額算定のための土壌汚染処理土量を過大に見積もっていた。

3.損害額査定のための、見積が杜撰であった。

 土壌汚染が確認された土地であっても、その表層を汚染のない土やコンクリートで一定の厚みを以て被覆すれば、土壌汚染対策を為したこととなるが、マンションを建設する等の理由でその土を掘削し場外に運び出すことがあると、その場外に運び出される土について土壌汚染処理を施さなければならない。
 本件の土地譲受人はマンション建設を目的としているため、汚染土壌の全量が汚染処理の対象となり、損害額として算定された。
 ただ、マンション建設を契機として、汚染処理対象が拡大され、その費用も拡大したのであれば、そのマンション建設の工事と平行して、土壌汚染処理が行えるはずであり、損害額を交渉するための見積であれば、こうした事情が勘案されるべきである。
 しかしながら、R社が作成した見積は、土壌汚染を単独で全量の土に対して行うもので、マンション建設の掘削のために通常使われる重機も単独で取り寄せ、土地全周に建設会社が行う仮囲いを設け、マンションの構造体が占めるであろう空間すべてに、埋め戻しの土を別途購入して、埋め戻す等のマンション建設工事内容と重複部分の多いものであった。

4.見積価格が過大であった。

 損害額の見積の重要項目である、土壌汚染処理の単価について、大手スーパーゼネコンに照会したところ、大手スーパーゼネコンのうち、単価が高いことで定評のあるゼネコンの単価を2割程度上回った過大な見積単価であり、また、工事経費の計上の仕方も通常を上回る過大のものであった。

5.上記1.〜4.までの事項を指摘した結果、土地譲受人と合意した損害額の金額がR社見積の約1/4となった。

 上記の異常な仕事の進め方や見積金額の内容の杜撰さについては、直接には営業担当者の責に帰すことも可能かもしれないが、もしそうなら、その営業担当者の暴走を許してしまっている、R社は猛省の上、管理体制を見直す必要があると考える。

 また、本件に於て、土壌汚染調査の過程でR社の異常な行動や暴走を指摘しつつも、R社との打合を担当者レベルに留めたのは、土地譲渡人が事業運営上どうしても高い土地単価を提示した土地譲受人に早期売却せざるを得ず、土地売買契約自体が暗礁に乗り上げる可能性や最終決済が遅れる可能性のあるR社との折衝は出来ず、土地譲受人との損害額に力点を置いて交渉を行った結果である。

 なお、本件の詳細な質問については、Eメールにてお問い合わせ戴ければ、お答えすることにやぶさかではないので、御連絡戴きたい。